細々しいアトリエが完成して間もないころ、一人のひとが訪ねてきた。
その人は、少し白髪交じりのヒゲを生やした初老の男性で腰の低い人
だったと思う。
アトリエはもともと開放的なものではなかったので、デッサンしてある途中
の絵を観てその人は話しかけてきた。
「あまり大々的にやるものではないですね。だからと言ってダメだと言って
いるのではない。分かる人にはすごく分かりやすい絵ということです。」
何が言いたいか、すぐにわかった。誰にでも受け入れられるものを作る事
を目指しているのでは無いと、すぐに気付いてもらえたようだ。
なかなかおしゃべりしていても快く思えてもらうことが出来ないので作品に
取り組む時間が増えてきたのが、ここ最近の現状だ。そんなことを文章に
したとしてもしょうもないことはわかっているが、最近その人の言葉を思い
出すことが増えてきた。誰にでも好かれたり、分かってもらえなくても大丈夫
なんだと、自信がついてきたのでここに書いておくことにしよう。